第1章・なぜBTSは世界のアイドルとなったのか?花様年華〜
なぜ今BTSに夢中になるのか?
ビルボードの大賞受賞、グラミー賞のノミネートなど最近の音楽賞で見ないことは無いくらい今、BTS(防弾少年団)は時代のトレンドとなっている。
23個のギネス世界記録も打ち立てた韓国K-POPのスーパーアイドルBTSの勢いが止まらない。
昨年、文大統領より特別使節の資格を与えられ、メンバー全員が国連に同行したのは記憶に新しい。
コロナ禍で、今や全世界は疲弊している。類を見ない感染者の数と死亡者。それに伴う経済への影響など、今までの価値観は完全に変化している。そんな中、昨年のBTSが行った国連でのパフォーマンスは異例の動向だった。

「K -POPアイドルが文大統領に同行して国連へ?」
今まででは考えられない事だったが、彼らは7人全員でスピーチを行い、パフォーマンスでは国連の会議室から始まり、7つの扉から外に出て彼ら7人と街の様々な人々とのダンスで締めくくった。歴史的快挙だった。(なぜか扉がメンバーの数とぴったりの7つだった事が、ネット上で騒がれてもいた。)

「なぜ、今BTSがこんなに人気なのだろう?」と思っている人は多いと思う。
しかし、やはり彼らなのだ!
小さな事務所からスタートしたBTSは、自分達自身でプロデュース、作詞、作曲と、手作りとも言えるストーリーを発表して行き、彼らの日常もSNSで発信し、全く新しい方法でARMYと呼ばれるファン層と深くつながって行った。
資金に余裕が無ければ、頭を使え!とばかりに、リーダーのRMはIQ148の天才型人間で、時代を見抜き、人を見抜く力は素晴らしいと思う。彼と事務所がピックアップし、最後までRMがこだわり抜いた最終メンバーは、作詞、作曲、歌、ダンスと、非常に優れた満点に近い構成になっている。
初めの頃は、ラップラインが目立つ反逆精神の強いボーイズグループという印象が強かったが、「花様年華」の”I NEED U”から方向性が変わり、ティーンズの孤独というものに寄り添う様なストーリーを発表して行った。
” I NEED U “から繋がるひと続きのストーリーとそのアンサー


2014年"DANGER"の大ヒットのヒートアップが少し落ち着いた頃、”I NEED U ”の韓国版MVで衝撃を受けた。本当にそれがこの大ブームの始まりだったと思う。
家庭内暴力から父親を刺してしまい、重い罪を負った少年、薬物中毒の少年、家出して街をさまよう少年、失恋の痛手からホテルに火を放つ少年など、レトロな色調と、それぞれに暗い悩みを抱えたティーンズの姿が、美しいハイトーンボイスと共に深く心に刻まれたのを覚えている。
グループの7人は、それぞれに個性があり魅力的だと感じた。その後、すぐにリリースされた”BUTTERFLY"を見た時、" I NEED U “には続編がある事を知った。

父親を刺して重い罪を背負った少年が、仲間の前で自分自身を裁くように海にダイブする。夕暮れの海を背景に彼の姿は、まるで蝶のようだという美しい歌詞とハイトーンボイスが悲しい。それを観た時に、このシリーズとグループは凄い!と思った。
防弾少年団・・・不思議な名前・・・でも、追いかけてみようと思った。
リーダーRMが拘ったのは、「ティーンズの孤独」だ。
そして、次のシリーズの「WINGS」・・・なぜBTSは、ここまで暗いテーマに挑むのだろうと思った。
しかし、冒頭の"BEGIN “で、ジョングクが「何歳か?」と聞かれて、15歳ですと答えるシーンを見て、ハッとした。そして原案となったヘルマン・へッセの”ダミアン”を読んで確信した。
防弾少年団・・・それは、悩めるティーンズの鎧になろうというグループだった。
第2章に続く